インターンシップの募集方法は?開始時期や選考のポイントを紹介

インターンシップの募集方法は?開始時期や選考のポイントを紹介 2024.04.03更新

インターンシップの導入方法や期間設定は様々ですが、始め方のステップや導入にあたり知っておきたいポイントなど、共通している部分もあります。ここではインターンシップ導入を検討中の人事担当者の方向けに、募集のタイミングや募集方法、また選考のポイントなどをまとめて詳しくご紹介します。
インターンシップ

インターンシップの募集方法とは?5つの導入手順

1、インターンシップを行う意義を知る
2、インターンシップの類型・特徴など理解を深めておく
3、事前計画を行う
4、募集方法を決め、実際に募集する
5、選考・インターンシップを実施する

企業がインターンシップの募集を行うには、大きく5つの導入手順があります。
どれもインターンシップを募集するうえで欠かせません。それぞれどのように実施すればいいのか、詳しく解説します。


1.インターンシップを行う意義とは

まずは、インターンシップを行う意義を正しく理解しておきましょう。インターンシップを行うことで、主に下記の3つのようなメリットを得られます。
・早期に優秀な人材と出会える
・学生に対して企業の理解促進や魅力発信につながる
・採用選考時に参照する学生の評価材料の取得

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早期に優秀な人材と出会える

インターンシップは早い段階で学生と接点をもてるため、早期に学生の傾向を知ることができます。また最近では、インターンシップは就職体験を提供する場だけでなく、企業が早期に優秀な学生を発見・獲得するために導入することもあります。また、インターンシップを行うことで、学生から就職を希望されることもあります。

学生に対して企業の理解促進や魅力発信につながる

インターンシップの取り組みは、学生に対して企業への理解を促進することにつながります。企業の業態や業種、業務内容について学生の理解が深まることで就職希望が促進されたり、企業にとっては若手人材の育成効果があったりします。また企業側は、実際の業務を学生に体験してもらうことで、採用資料ではアピールできなかった自社の魅力を伝えることもできます。

採用選考時に参照する学生の評価材料の取得

2022年6月以降、就業体験を行うなど一定の基準を満たしたインターンシップを行った学生の情報について、企業側は採用活動開始以降に限り、採用選考時の評価材料として利用ができるようルールが変更となりました。ただし、インターンシップをはじめとするキャリア形成支援に係る取り組みは、就職や採用活動そのものではありません。学生は採用選考に際し、改めてエントリーが必要となります。


2.インターンシップの類型・特徴など理解を深めておく

これまでのインターンシップは主に参加期間によって分類されていました(1日〜1ヶ月程度の短期インターンシップ、および1ヶ月以上の長期インターンシップ)。しかし2022年6月、文部科学省・厚生労働省・経済産業省の合意のもと「インターンシップの推進に当たっての基本的考え方」について改正が行われ、「学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取り組み」として、新たに4つのタイプに類型化されました。改正後は4タイプのうち就業体験を必須とする「タイプ3」および「タイプ4」をインターンシップと称し、就業体験を必須としない「タイプ1」および「タイプ2」はインターンシップと称さないので、注意が必要です。
各タイプにおいて実施目的や就業体験の有無、参加期間や実施時期などが異なるため、それぞれの特徴を理解しておきましょう。なおこの改正の適応は2023年度からで、2025年3月に卒業・修了予定の学生から対象となります。

【学生のキャリア形成支援に係る産学協働の取り組みの4つの類型】

■インターンシップと称さない取り組み
(就業体験は必須でない。「個社・業界の情報提供等」や「教育」が目的)
・タイプ1:オープン・カンパニー
・タイプ2:キャリア教育
■インターンシップと称する取り組み
(就業体験が必須。「自身の能力の見極め」や「評価材料の取得」が目的)
・タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ
・タイプ4:高度専門型インターンシップ(試行)

インターンシップ

タイプ1:オープン・カンパニー

・「個社・業界の情報提供」や「PR」が目的
・主に企業や就職情報会社、大学のキャリアセンター主催のイベントや説明会を想定
・就業体験は「なし」
・参加期間は超短期(単日)
・実施時期は学業両立に配慮し、「学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)」
・学生情報の採用活動への活用は「不可」

タイプ2:キャリア教育

・「教育」が目的
・主に企業が実施するプログラムや、大学主導の授業およびプログラムを想定
・就業体験は「任意」
・参加期間は短期〜長期(プログラムによって異なる)
・実施時期は学業両立に配慮しつつ、「学士・修士・博士課程の全期間(年次不問)」
・学生情報の採用活動への活用は「不可」

タイプ3:汎用的能力・専門活用型インターンシップ

・「就業体験」や「自らの能力の見極め」、「評価材料の取得」が目的
・主に企業や大学等が実施するプログラムを想定
・就業体験は「必須」で、職場の就業体験が半分以上の日数必要(※就業体験要件)
・参加期間は2種。学生の適性や汎用的能力を重視する「汎用的能力活用型」は短期(5日間以上)、専門性を重視する「専門活用型」は長期(2週間以上)(※実施期間要件)
・実施場所は「職場(職場以外との組み合わせ可)」
・実施時期は「学部3年・4年、修士1年・2年の長期休暇期間」「大学正課、博士課程は限定されない」(※実施時期要件)
・基本的に無給(社員と同じ業務、働き方となる場合は有給)
・職場の社員が学生を指導しフィードバックが必要(※指導要件)
・募集要項等で必要な情報開示を行う(※情報開示要件)
・学生情報の採用活動への活用は「採用活動開始以降に限り可」
※一定基準を満たしたインターンシップ(タイプ3)によって企業が得た学生情報は、広報活動や採用選考活動に使用可能です。一定基準とは末尾(※)付き要件(就業体験要件・指導要件・実施期間要件・実施時期要件・情報開示要件)となります。

タイプ4:高度専門型インターンシップ(試行)

・「就業体験」や「実践力の向上」、「評価材料の取得」が目的
・大学と企業が連携して実施する「ジョブ型研究インターンシップ」、「高度な専門性を重視した修士課程学生向けインターンシップ」が該当(試行)
・就業体験は「必須」
・学生情報の採用活動への活用は「採用活動開始以降に限り可」


3、事前計画を行う

インターンシップを実施するうえで欠かせない事前計画についてご紹介します。必要な事前計画は主に下記の2点です。

・実施目的を決める
・目的に応じた実施期間を設定

実地目的を決める

インターンシップ導入はまず実施する目的を設定するところから始まります。業界への理解、指導を通した社内のOJT(仕事の指導)スキル向上、社会貢献など目的が定まることで、受け入れ体制の整備、対象学生が明確となります。業界と事業のPRや社会貢献を目的とする場合、対象学生の学部や専門分野を限定する必要はありません。一方、専門分野の知識を必要とする場合は、特定の学部に焦点をあてるなど、目的に応じた学生の募集にあたることができます。また目的の設定には、新たに類型化された4タイプの中でどの類型に当てはまるのか、今一度確認するとよいでしょう。

目的に応じた実施期間を設定

同じように目的に適した実施期間の設定も重要です。大学の授業の一環的な取り組みでは、1日から2週間以内といった短期間で開催する企業が一般的のようです。詳しい実施期間については各類型によって定められているため、あらかじめ確認が必要です。


4、募集方法を決め、実際に募集する

主なインターンシップの募集方法は、下記の3つです。
・ホームページで募集する
・大学のキャリアセンターで募集する
・求人サイトを使って募集する

ホームページで募集する

自社にホームページがある場合、そこに募集要項を掲載してお知らせするのが最も簡単な方法です。同時に、SNSでの拡散等、学生がそのホームページにアクセスするための工夫が必要になります。

大学のキャリアセンターで募集する

大学のキャリアセンターを利用するメリットは、大学へ直接、一度に多くの学生に告知できるという点です。ただ、大学によっては、当然募集を行う企業も多くなるため、自ずと採用の難易度は高まります。他の企業との差別化を図るオリジナリティを意識しましょう。

求人サイトを使って募集する

求人サイトの場合、学生にとっても手軽に利用できるため、募集内容によっては多数の応募を見込めます。掲載や採用の仲介によるコスト等を考慮してから、募集を行いましょう。

どの方法で募集するか決まったら、募集ページの原稿を作成し募集を開始します。 各媒体の募集ページには、求める学生像をなるべく具体的に書きましょう。学生に響くように、募集する人物像は絞って書きます。インターンシップへの取り組みや、学生を支援する制度など自社で独自の取り組みがあれば、アピールポイントとして記載しましょう。より多くの応募が集まれば、その中からより優秀な学生をインターンシップに迎え入れることができます。


5.選考・インターンシップを実施する

応募してきた学生の中から自社のプロジェクト参加に相応しい学生を見極めるため、選考を行う場合もあります。選考の方法は企業ごとに設定されており、基準には幅があります。一般的な選考過程・審査のポイントについては、以下で紹介する4つをご覧ください。

・書類審査
・Webテスト
・グループディスカッション
・面接

・書類審査
エントリーシートに記載された志望動機や学生時代に尽力したこと、自己PRの内容によって参加への意思を審査。

・Webテスト
大企業などで募集人数が多数になる場合に導入されています。一定の基準をもって選考の合否を決定することが可能。

・グループディスカッション
課題に取り組めるだけのコミュニケーション力や協調性、論理的思考力など、基礎的なスキルが身についているかを判断します。

・面接
面接では、学生の参加に対する意気込みなどを判断するのに有効的です。企業側の質問への対応力など、行動特性を図ります。

インターンシップの選考は1回、多くても3回までが一般的で、スキルや能力を判断するというよりも、価値観や行動特性をとらえるための審査と考えられています。選考面接では学生の審査と同時に、動機形成を確立するためにも有効ですので、重要な過程といえます。

審査を経て無事にインターン生が決定したら、いよいよ事前計画に合わせて実施します。
インターンシップでは就業体験を必ず行う必要があり、かつ実施期間の半分以上は職場での体験を実施しなければなりません。テレワークが常態化している場合には、テレワークを含めることも可能。
実施内容としては、業務同行、事業所等での実務体験をメインに、事業・業務説明やグループワークなども行います。
また、インターンシップを実施するにあたり、現場社員による指導・フィードバックも欠かせません。学生とのコミュニケーションをしっかりと図り、就業体験を通じて自社の魅力を学生にアピールしていきましょう。

インターンシップ選考

合わせて実施しておきたい!インターンシップの受け入れの準備

インターンシップは募集するだけでなく、その後の受け入れ体制を整えることも大切です。
インターンシップ受け入れ体制を整えるための以下の4点について、解説します。
・社内体制の構築
・実施計画書を配布する
・事故リスクへの備え
・誓約書の制作

社内体制の構築

インターンシップの学生受け入れのために、社内体制も整える必要があります。インターンシップの目的を理解したうえで、受付窓口や部署の整備と適切な対応に努められるよう準備します。学生を受け入れる際、実施プログラムや実習スケジュールは、綿密に計画を立てておくことが重要です。実務体験型(社員とほぼ同じ実務をこなす)、課題解決型(プログラムの完成や課題達成などのプロジェクト)、説明会(企業や業界の説明会)など、内容に合わせた設備や設営の構築も要求されます。

実施計画書を配布する

社内体制をインターンシップ用に構築するためには、フォローする計画書があることが理想的です。計画書には、実施概要としてインターンシップの目的、対象学生、期間、予算などの詳細を記載した内容を作成します。受け入れ窓口や部署の社員名も記載し、担当の所在を明確にしておきます。同時に、社内での準備スケジュールを項目別に表にするなどして、計画の遂行をわかりやすく明記し、従業員全体に理解と関心を深めてもらうことが重要です。

事故リスクへの備え

インターンシップの受け入れで重要なのは、事前研修での学生への一般常識教育です。学生にはあらかじめオリエンテーションなどで講義や指導を取り入れ、接遇やビジネスマナーの基本を認識してもらうようにします。また業種に関わらず、企業の機密や顧客の情報に関する守秘義務についても指導し、必要であれば誓約書のサインも交わしておきます。

誓約書の制作

インターンシップの合意内容を整理するためにも、誓約書を交わすことは賢明です。多くの場合ひな形は大学側で用意しますが、合意内容の追加や追加事項は大学側と調整したうえで随時対応します。誓約書の内容としては、期間中実習に専念し法令を遵守、守秘義務の遵守、傷害保険加入の意思確認や自己責任など未然に事故や混乱を防ぐための重要事項が記されます。


企業の目的に合わせて募集方法と募集開始時期を決めよう!

インターンシップの取り組みは大学の推奨と共に企業側の意識も高まり、年々増加する傾向にあります。インターンシップを効果的に取り入れるために、まずは目的を明確にし、どの類型に該当する取り組みを行うかを決定する必要があります。目的に応じて開催する期間と時期が決定できれば、準備もスムーズに行うことができます。1日や2週間までの短期から1ヶ月以上の長期まで、受け入れのタイプによって準備方法や募集方法も変わります。業務の遂行との兼ね合いを計りながら、効果的に導入する方法を検討し、インターンシップで学生と企業の双方にとって有益となるよう導きたいものです。