多くの企業が行う採用活動の1つに、合同説明会があります。合同説明会は多くの学生に自社の魅力を伝えるチャンスです。またその形式は従来の対面型に加え、コロナ禍の影響もあって近年ではWEB型も広く普及してきました。本記事では、企業が合同説明会に参加するメリット、効果的に学生へ自社をアピールする方法や準備などを紹介します。合同説明会を上手に活用し、新卒採用を充実させましょう。
合同説明会の目的は、学生に自社の存在を知ってもらい、学生が知りたい情報と共に、自社の魅力を伝えること。そして最終的に、多くの優秀な学生の採用に繋げることです。
合同説明会は、自社に興味を持っていなかった学生を振り向かせるチャンスです。対面型の合同説明会にはさまざまな企業ブース、WEB型の場合はさまざまな企業サイトがあり、多くの企業の情報を集めようと、たくさんの学生が来場またはアクセスをしています。また他の企業のアピール方法や企業ブース、サイトを見ることもできます。人気のブースやサイトの特徴を見ておくと、アピール方法の参考にもなるでしょう。
WEB型の合同説明会では、会場サイト上で多くの企業が各社の個別ページを設け、それぞれ説明会を配信します。学生は、さまざまな企業サイトの中から選んだ各社のページにアクセスするため、より自社に興味を持った学生が参加しやすいという特徴があります。
合同説明会に参加する場合は、新入社員の採用後のポジション、条件など、どんな人材に入社してほしいか決めておきましょう。多くの学生に自社を知ってもらうことも目的の一つですが、最終的には内定に繋がる学生を呼び込む必要があります。ターゲットを絞ることで、内定に繋がる可能性のある学生へ向けた的確なアピールを考えることができます。
合同説明会に参加するなら、当然プレゼン内容はしっかり準備しておきましょう。学生に魅力的な企業だと思ってもらうため、次の4つの内容をプレゼンに取り入れると効果的です。
・入社後のイメージが持てる具体的な内容
・入社後の不安を解消する内容
・入社するメリット
・この場でしか知りえない内容
プレゼン内容は、入社後の業務内容や現場の雰囲気などを伝えることで、学生の入社意欲を高め、ミスマッチを防ぐことにも繋がります。学生は入社後の自分の姿を想像することができないと、「何をやるかよく分からないから止めよう」と考えてしまうかもしれません。学生に「自分がこの企業に入ったら」をしっかりとイメージさせてあげましょう。
学生が不安を抱いている原因を察知し、自社が行っている対策や、過去の体験談などで「ここなら大丈夫」と安心してもらえるプレゼン内容を考えましょう。新卒の学生にとっては初めての就職活動であることに加え、ブラック企業や早期退職のニュースなどにより、企業選定に慎重になっているケースもあります。新入社員の教育方法やスケジュールなどを伝えることも、学生の不安を和らげるのに効果的です。
プレゼンテーションでは、具体的で分かりやすいメリットも伝えるようにしましょう。「やりがい」「成長できる点」などの気持ちの面から、「好きな日に有給を取得しやすい」「安くておいしい社員食堂」など、具体的な例までしっかり伝えることで、学生の気持ちを掴むことができます。
プレゼン内容には、合同説明会に来なければ知ることができなかった情報も含めましょう。学生は、さまざまな企業の話が聞ける合同説明会の中で、貴重な時間を割いて自社のブースやサイトに来ています。プレゼン内容が、学生がすでに知っている情報や、パンフレット・インターネットで調べれば出てくるような情報だけにならないよう気をつけましょう。
対面型の合同説明会において、配布資料は重要です。自社のプレゼンテーションを聞く時間が取れなかった学生にも配ることで、より多くの学生に自社を知ってもらうことができます。また、一度配布資料を読んで興味を持ち、話を聞きに来てくれる学生が増えることもあります。
また、合同説明会の配布資料は、既存のお客様用パンフレットではなく、合同説明会用のものを作成しましょう。そうすることで合同説明会の目的・ターゲットに合わせた内容を記載することができます。
WEB型の合同説明会においても配布資料は重要です。ぜひ活用したいのが「採用ピッチ資料」と呼ばれる手法で、「ピッチ」とは「短いプレゼンテーション」の意味をもちます。採用ピッチ資料は採用したいターゲットを明確にし、応募側の理解が深まるようストーリー性を持たせて作成します。また給与や残業時間、リモートワークの割合など自社の情報をありのままに開示するという特性があり、採用後のミスマッチ防止にもつながります。またデジタル使用が中心なのでデータ形式で作成しやすく、特別なスキルがなくても内部の社員が随時情報を更新できる点も魅力です。
また近年では合同説明会などの「マス型採用」に加え、企業が個別に学生へアプローチする「個別採用」のケースも増えてきました。自社の合同説明会に参加した学生に対し、採用ピッチ資料を用いて再度アピールすることも可能です。
合同説明会の配布資料を作成するときには、次の2つのことに注意して行いましょう。
学生への配布資料に記載する内容は、仕事内容やキャリアアップモデル、会社の風土、業績や社員の声など、学生が気になっていることは何かを考えて選びましょう。また、福利厚生や退職金制度など、学生が社員に直接聞きづらいことについても記載しているとより効果的です。こちらが話しかけなくても、または学生が社員に質問をしなくても自社の情報を届けることができるツールのひとつが、配布資料です。
配布資料のカラーやフォントは見やすいものにしましょう。人が得る情報量は、視覚から受け取るものが約9割だと言われています。それだけに、目に見えるものの情報は重要です。また、奇抜な形や色使いは必要ありませんが、どの資料も同じような見た目をしていると、読み手が退屈に感じ、集中力が途切れてしまいます。それぞれのページで読みやすさを意識しつつ、読み手の集中力を切らさない工夫をしてメリハリをつけましょう。
合同説明会は、プレゼンテーターによって、学生に与える企業の印象もガラリと変わります。合同説明会でプレゼンテーターを選ぶポイントは次の3つです。
・学生と年代の近い若手社員を起用する
・自社の目玉業務は担当者自らがプレゼン
・企業トップが参加することで採用の本気度が伝わる
合同説明会の司会進行役などは、学生と年代の近い若手社員を選びましょう。歳が近い社員が話すことで親近感を覚え、学生はリラックスして話を聞くことができます。また、その社員と自分を重ねて、入社後のビジョンを想像しやすくなります。
積極的にアピールしたい業務は、それを行う当時者がプレゼンテーションを行いましょう。仕事の成果、仕事の過程、仕事中の気持ちなど、伝えられることは多いはずです。学生も「入社後はこの人と働くかもしれない」ということが分かると、現場の雰囲気をより理解することができます。
企業のトップが企業理念や将来像、求める人材についてプレゼンテーションを行うことで、新卒採用にかける企業の熱意が学生に伝わります。スケジュールの調整が難しい場合は、合同説明会のイベント名や日時を織り込んだビデオレターでプレゼンテーションするという方法もあります。
合同説明会では、プレゼン内容や資料だけではなく、社員の様子やブースの装飾も学生に見られています。そのため、下記の点にも注意しておきましょう。
合同説明会に参加する社員は、姿勢を正して、親しみやすい態度で学生と接しましょう。「この人と働きたい」と思ってもらうことで、採用に繋がりやすくなります。また、しつこく勧誘しすぎたり、だらしない態度をとったりしてしまうと、学生間での自社の評判を落とすことになりかねないので注意です。
対面型の場合、ブースは色合いを温かいものにするなど、学生が入りやすい見た目にすることが大事です。また、学生はどこの企業の話を聞きに行こうか悩んでいるとき、あまり社員と目を合わせないようにする傾向があります。その際、学生の目に映るのは企業のブースです。ブースは中央付近だけではなく、端の方も装飾して、学生の目に入りやすくしましょう。
合同説明会は企業にとって、多くの学生に自社のことを知ってもらうチャンスです。合同説明会では学生の気持ちを想像しながら、「入社したい!」と思ってもらえるようなアピールを考えて参加しましょう。合同説明会では、プレゼン内容、社員の態度、ブースの見た目など、目に見えるすべてが学生にとっての印象を決めます。本記事で紹介したポイントも参考に、自社の魅力を効果的に学生へ伝えましょう。