就活において避けては通れない「エントリーシート」。企業に熱意や強みが伝わる書き方と4つのポイントをご紹介します。
エントリーシートとは別名「ES」とも呼ばれる、企業が用意する応募用紙のことです。
主に書類選考のために用いられ、その内容は企業により異なります。学生は選考を受ける段階で、まず企業からエントリーシートを入手して、期日までに提出する必要があります。
エントリーシートは企業があなたを判断する最初の書類です。そこに書かれていることでその学生がどんな人物かを思案し、面接で実際に話してみたいかどうかを判断します。
また人気の企業だと、エントリーシートの段階で選考をかけていることもあります。
その後の選考に大きな影響を与える非常に重要なポイントになるので、エントリーシートの書き方を学ぶことは非常に大切なのです。
そもそもエントリーシートに出会ったことのない人は、どのように書いたらいいか分からないかもしれません。エントリーシートの基本的な5つのチェックリストを確認してみましょう。
1.「日付」欄は提出日か前日の日付を記入しよう
2.「住所」欄は省略せずに書こう
3.「学歴」欄は正式名称で記入しよう
4. 写真を忘れないように注意しよう
5.「自己PR」などの欄は結論を最初に伝えよう
エントリーシートの「日付」欄は、提出日か前日の日付を記入しましょう。また、西暦か元号表記かの指定がない場合は、書類全体で統一していればどちらの表記でも問題はありません。
「住所」の欄には都道府県名から省略せずに記入しましょう。またマンション名や部屋番号の記入を忘れてしまいがちなため注意が必要です。
「学歴」の欄には、新卒であれば中学卒業から記入するのが一般的です。 それ以降は入学と卒業(修了)を年月と共に記入しましょう。また「高等学校」など、学校名は正式名称で記入します。
写真は、エントリーシートの書き間違いなどに備えて最後に貼るのが一般的です。 しかし、そのためか写真を貼り忘れてしまうケースが毎年頻発します。写真は最後に貼り忘れないよう注意をしましょう。
また、書類選考の際に写真が剥がれ落ちることも考えられます。写真の裏面には学校名と氏名を必ず記入しましょう。
採用担当者はエントリーシートを短期間に大量に読みます。その際、回りくどく結論にたどり着かない文章は、途中で読むのを投げ出されてしまう可能性もあります。「自己PR」などの長文を書く際は、まず初めに結論を書いて、伝えたい内容が早く伝わるようにしましょう。
全て基本的なことですが、一つでも怠ってしまうとそれだけでイメージが悪くなってしまいます。しっかりとアピールポイントを見てもらうためにも、余計なマイナス点は無くしていきましょう。
エントリーシートでは、学生の基本的な情報の他に、その学生の能力や魅力を知ろうとしています。エントリーシートで聞かれる主な質問には、次の3つの質問があります。
1. 長所や特徴…「自己PRをしてください」
2. 知識や才能…「最近のニュースで最も関心のあるものは何ですか?」
3. 応募者の熱意…「この会社を志望する理由を教えてください」
「自己PRをしてください」「学生時代に特に力をいれたことは?」「これまでリーダーシップを発揮した経験を教えてください」など、学生の能力を聞く質問です。その能力が魅力的なものか、本当に備わっているか、企業にマッチしているか、などを聞こうとする意図があります。
「最近のニュースで最も関心のあるものは何ですか?」「今話題の~についてどう思いますか?」など、時事問題やニュースについての質問です。学生の知識や考える力を見ようとしています。これらは事前の対策が可能なので、日頃からの情報収集や考える力が大切となってきます。
どの企業でも確実に聞かれ、そして重視される質問です。「この会社を志望する理由を教えてください」「この会社に入って、一番やりたいことはなんですか?」など、学生の熱意や目標を聞く質問があります。これらの質問には、企業や業界についての知識の深さと共に、応募した素直な理由をできるだけ具体的に述べる必要があります。
それぞれの質問には、学生の魅力を問うものだけでなく、知識量や才能を聞く役割などがあります。何を聞かれてもアピールできるよう、エピソードなどを準備しておきましょう。
エントリーシートではどのような質問にも通じる、4つの書き方のポイントがあります。
1.「アピール材料+エピソード」を意識しよう
2. 伝えることはしっかりと整理しよう
3. 企業側の立場で考えよう
4. 文章としてのマナーに気を付けよう
それぞれについて、詳しくご紹介致します。
エントリーシートがなかなか通らない学生に多いのが、アピールしたいことをただ一方的に述べているだけ、という内容です。いくら学生の主張する内容が魅力的でも、それらを活かしたエピソード無しでは、採用担当者には響きません。まずあなたがアピールしたい材料、主張できる強みが決まったら、それらを象徴するエピソードで内容を補強することが重要です。
伝えたい内容がたくさんあると、文章に起こした際に言いたいことが乱れてしまいがちです。何を一番伝えたいか、書く前に優先順位を決め、まとめてから書くと読み手にも伝わりやすくなります。
エントリーシートを読む採用担当者は、その企業にマッチした特徴を持つ人物を探しています。つまり、どれだけ魅力的で類まれな能力を持った人物でも、企業にとって必要のない能力であれば採用する理由はありません。企業が欲している人物はどんな人物か、何を魅力と感じるかを企業の目線で考えられるようになれば、自ずと良いエントリーシートが書けるようになるはずです。
内容にこだわるあまり意外と見落としがちなのが、文章のマナーです。「話し言葉や記号は使わない」「誤字脱字に気を付ける」など基本的なことですが、書き手のイメージに直接繋がることなので注意しましょう。また、例え下手でも、丁寧な字で書くことを心掛けましょう。
エントリーシートで長文となる項目では、文章が読みづらいと採用者にも効果的にアピールができません。しっかりと読んでもらうためにも、4つのポイントに注意して書いてみましょう。
エントリーシートで陥りがちなNG例と、それを改善したOK例をご紹介します。
Q.自己PRをしてください
「私の長所は辛抱強い所です。何事も辛抱強く、集中して取り組むことができます。御社に入社した際には、どんな状況でも辛抱強くやるべきことをこなしていきたいと考えております」
【改善点】
・エピソードがないため説得力がない
OK例
「私の長所は辛抱強い所です。大学1年生の時、英語のリスニングの成績がなかなか上がりませんでした。そこで教材を買い、毎日10分間英語だけを聞く時間を作りました。それでも最初はなかなか成果が出ませんでしたが、辛抱強く一年間続けました。
そのことで、2年生で最初のリスニングのテストで満点に近い点数を出すことができ、一年間の地道な努力の成果を出すことができました。社会人になっても、上手くいかずに苦しい思いをする場面があるかと思いますが、強みである辛抱強さを発揮し、地道に少しずつ努力して、解決したいと考えております。」
Q.営業職として活かせる、あなたの強みを教えてください。
「私の強みはリーダーシップです。学生時代、大学内でも部員数の多いテニスサークルの部長を務めておりました。様々な学部の部員が所属しているため、練習や試合の日程の連絡が全員に行き届かないことが何度かありました。
しかしその度に、連絡が届いていない人のところへ会いに行き、連絡事項を直接伝えてまいりました。このリーダーシップを営業職として活かしたいと考えております。」
【改善点】
・「リーダーシップ」を営業職でどう活かすかが言及されていない
・強みである「リーダーシップ」とエピソードが関連していない
OK例
「私の強みは、広く様々な人と関われることです。学生時代、大学内でも部員数の多いテニスサークルの部長を務めておりました。様々な学部の部員が所属しているため、練習や試合の日程の連絡が全員に行き届かないことが何度かありました。
しかしその度に、部長として率先して連絡が届いていない人のところへ会いに行き、連絡事項を直接伝えてまいりました。それがきっかけで連絡を取り合うようになった友人も多く、「広く様々な人と関われる」という自分の強みに気が付くきっかけともなりました。
営業職では、様々な企業の方と接する機会が多く、広い交友関係が肝となります。良い商品やサービスをたくさんの方に提供するために、これらの強みを活かしたいと考えております。」
Q.「これまでで挫折した経験を教えてください」
「高校三年の時、大学受験で失敗したことが、これまでの挫折の経験です。高校三年間一生懸命に勉強しましたが、成果が出なく一度は諦めかけました。しかしそれでも諦めずに浪人して勉学に励みました。その結果、第一志望校に合格することができ、諦めないでよかった、と心から思いました。」
【改善点】
・エピソードに具体性がないため、説得力がない
・情景をイメージしにくい
OK例
「高校三年次、大学受験で第一志望校に落ちてしまいました。両親とも相談した結果「他の大学にしよう」と一度は諦めかけました。しかし、高校三年間の懸命な努力を思い出し、両親にも協力してもらって、浪人してもう一度だけ挑戦することにしました。
そこで、一年間勉強のことだけを考えることができるよう、予備校の寮に泊まり、朝から深夜まで勉強に集中しました。その結果、試験当日には最大の実力を発揮することができ、念願の第一志望校に合格することができました。」
企業があなたを認識するのは、面接ではなくエントリーシートです。全てはそこから判断して、面接の質問や対応をすることになります。就活する上での原点ともいえるものなので、しっかりと準備し、企業目線で伝えたいことをまとめて提出しましょう。