インターンシップや就活時の面接は、自分を企業にアピールするための大切な場です。話の中身はもちろん、見た目も重要。特に女性が悩みがちなのは、“就活メイク”ではないでしょうか。 企業側に好印象を与えたい。けれども、悪目立ちが怖いあまり、地味メイクになってしまう…。こうした就活メイクに関する悩みを抱えた学生向けに、2019年9月29日(日)開催の「マスコミ業界仕事サミット in 東京 #2」にて、気象予報士・キャスターの久保井朝美さんによる「マスコミ業界 就活メイク講座」が開催されました。
久保井朝美(くぼいあさみ) 気象予報士・キャスター 1988年9月20日、愛知県生まれ。 誕生日が「空の日」であることから、空の世界に興味を持つ。 農業の経験や、情報番組の天気コーナーを担当したことから、気象と生活や経済の密接な関係を実感し、気象予報士の資格を取得。 「子どもからお年寄りまで分かりやすく、役立つ天気や災害の情報・知識を発信したい」という思いで、お天気キャスターとしてテレビやラジオに出演。歴史が大好きで、趣味で「日本100名城スタンプラリー」をしている。好きなお城は松本城、好きな歴史上の人物は加藤清正。 現在、TBS「ひるおび!」、TOKYO MX「モーニングCROSS」、ラジオNIKKEI「ハート&ライフ~ありがとうを言わせて~」レギュラー出演中。
講座は午前中に2回開催。2回とも、会場には多くの学生が足を運びました。“就活メイク”という内容上、参加者はほぼ全員女性。1回目の講座には男性の姿も見られました。大半が大学3年生、2年生の参加者もいました。
※スライド:「TBS「ひるおび!」オンエア風景
講座開始後、「マスコミ業界」と名の付く講座であることもあり、まずは久保井さんの仕事についてのお話からスタートします。雑誌でメイクに関する取材を受けている久保井さん、雑誌に登場する「ドラスト系コスメ」について参加者に問いかけます。 ドラスト系コスメとは、「ドラッグストア系」コスメのこと。最近のコスメは、ハイブランドではなくても使えるものが多くあることが紹介されました。プチプラのコスメにも発色の良さやカールのもちがいいものが増えており、久保井さん自身も実際に愛用することがあるのだそうです。
就活メイクについての講座の前に、久保井さんが紹介したのが「メラビアンの法則」です。メラビアンの法則とは、印象を占める割合のこと。その法則によると、人の印象を決める割合は、55%が視覚、38%が聴覚、7%が言語だといわれています。 ここでいう視覚とは、単純な見た目だけではなく、表情の豊かさも含まれます。聴覚は声の大きさや話す速さ、抑揚の付け方です。メラビアンの法則によると、面接で話す内容(言語)が与える印象は7%と、かなり影響度が低いことがわかります。
これらを踏まえ、久保井さんは「初期(1~2次)面接は、面接時間が少ないため、見た目で今一つな印象を与えてしまうと挽回しづらいんです」と語ります。また、グループディスカッションでは一人ひとりが見られる時間が少ないため、やはりマイナスイメージを覆せるチャンスは少ないといえるでしょう。 逆にいうと、「印象がいいと、初期段階の面接はクリアしやすいんです」と久保井さん。では、どのような就活メイクであれば、面接官に良い印象を与えられるのでしょうか。
就活メイクの重要なポイントは、「おしゃれさ」よりも「フレッシュさ」。時代とともに変化している企業もあるなか、やはりまだまだ「メイクは社会人にとっての身だしなみのひとつ」だと考えている企業もあると久保井さんは語ります。 社会人の身だしなみとしてのメイクは、好感度や清潔感のある、企業側が「この人と一緒に働きたい」と思えるメイクです。つまり、マスコミ業界の華やかな職種を目指す人であっても、基本はナチュラルメイク。判断基準は、「親・祖父母世代にとって印象がいいかどうか」です。
こここで、久保井さんが自身の経験から紹介した就活メイクのポイントは、「面接官が可能性を感じられるメイク」。アナウンサー試験を受ける際、実際に久保井さんが言われたポイントです。 素顔がイメージできないほどのメイクや、これ以上変えようがないほど仕上がっているメイクからは可能性が感じられないのだといいます。一方で、ナチュラルメイクであれば、伸びしろ、プラスアルファをイメージさせる余地があるのです。 ただ、注意しておきたいのは、「ナチュラルがいいなら、すっぴんでもいいんじゃない?」とはならないことです。ナチュラルメイクは、すっぴんや地味メイクではありません。そのため、とにかく引き算をすればいいわけではないのです。 また、久保井さんは、マスコミ業界の志望者だからこそ意識したいポイントもあるといいます。
「どれもこれも、“絶対NG”ではなく、程度が重要です。判断に迷ったときには、親や祖父母、教授など、面接官の年代の方が見てどう思われるかを考えてみるといいですよ」と久保井さんがアドバイスします。 地味メイクがおすすめされない理由は、「タフさ」を見せたいためです。「あまりにも薄化粧では、見方によっては貧弱そうに思われてしまう可能性があります。マスコミ業界は、例えばテレビだと早朝や深夜の番組で不規則だったり、出版社だと入稿前など時期によりハードワークだったりします。活躍してもらえそうだな、と思ってもらうには、マイナスイメージになってしまうわけですね」(久保井さん)
講座には、隣り合った人同士でコミュニケーションをとる時間も設けられました。「メイクも自己分析」だとし、互いに相手の顔のチャームポイントについて褒め合います。笑い声も聞こえ、「パッと見、大人っぽく見えました」「目力がありますよね」と会場が盛り上がりました。
久保井さんは、「自分では思いもしなかったパーツを褒められることもあるものです。ひとつでも自信を持てる部分を見つけることで、前向きな気持ちになれますよ。その気持ちが、表情の豊かさにも繋がっていくんです」といいます。自己分析だけではなく、他己分析を取り入れることで、新たな自分の美点を見つけられるでしょう。
また、メイクやスーツのカラー選びに役立つパーソナルカラーについても簡単な診断が行われました。
パーソナルカラー診断を行う参加者たち
【イエローベースの人】 〇下地 ・透明感・赤みを押さえたい人:ブルー ・自然な血色をプラスしたい人:ピンク ・ブルーとピンクの両取り:パープル ・毛穴を隠したい人:イエロー ・控えたいカラー:グリーン 〇チーク・リップ:オレンジ系、コーラルピンク 【ブルーベースの人】 〇下地 ・自然な血色をプラスしたい人:ピンク ・透明感を出したい人:パープル ・赤みを押さえたい人:グリーン ・控えたいカラー:ブルー 〇チーク・リップ:ピンク系、コーラルピンク その他、久保井さん直伝の各メイクのポイントについて紹介します。
ファンデーションのポイントはメリハリ塗りです。適量をおでこ・両頬・鼻・あごに乗せ、外側に伸ばすように塗りましょう。くまやシミ、ニキビ跡など、隠したい部位にはコンシーラーを少量ずつ付けるのがポイントです。特に、目・口まわりはよれやすいため、注意しましょう。
血色がよければ、チークは使わなくてもOKです。つける場合は、頬骨の1番高いところに薄く付け伸ばす程度にします。
メイク初心者が悩む眉の書き方。ポイントは、3つのポイントを押さえることです。 ・眉頭:小鼻の上あたり ・眉山:瞳の外側と目じりの間 ・眉尻:小鼻と目じりの延長線上 プロのヘアメイクも学ぶ基本なのだとか。
アイシャドウは、ラメやパールがあまりないものを選びましょう。ピンクブラウンも明るく見えるのでおすすめです。塗り方は、一重・二重によって異なります。 ・二重:二重幅に明るい色を。濃い色は腫れぼったくなるので注意 ・奥二重:二重幅はやや明るい色を ・一重:明るすぎる色は腫れぼったい印象になるので注意。際に濃い色を使うのがおすすめ プロのヘアメイクも学ぶ基本なのだとか。
アイラインは、目の上部分だけに引き、目じりから先には引かない方がよいでしょう。できるだけ細く引き、太くなってしまったらアイシャドウでぼかします。 色はブラック、ダークブラウン、ブラウンなど。色が淡いと優しい雰囲気に、濃いと知的な印象になります。見せたい自分に合う色を選びましょう。
マスカラは、ロングタイプ、ボリュームタイプのいずれにしても、つけすぎないことが大切です。マスカラよりも、ビューラーでまつ毛をカールさせる方が失敗するリスクがなくおすすめ。ホットビューラーを使えば、湿度の高い日や面接をはしごしなければいけない日でもばっちりカールがキープします。
最近ではつやつや系リップが人気を集めていますが、就活メイクではマットな質感のもののほうがおすすめです。濃い色も流行っていますが、血色がよく見える程度につけ、あくまでも自然な唇を意識しましょう。
メイク中は、鏡と至近距離でパーツだけを凝視してしまいます。メイクが終わったあとは、必ず遠目でトータル的にチェックしましょう。三面鏡や手鏡を使い、横からの見た目もチェックしておくとベターです。
「メイクは自分の魅力を引き出すツールです。ただただ無難にしよう、アピールのために目立たせようとするのではなく、自然な自分に自信をもてるナチュラルメイクを身に着けてくださいね」と語る久保井さん。困ったときには、面接官の年代に近い人に相談することも強く勧めていました。 真剣に耳を傾けていた参加者たち。これからメイクを始める、メイクをほぼしていない方も多く見られました。自分を活かせるナチュラルメイクは自分のお守りでもあります。今回の内容を参考にナチュラルメイクの練習を重ね、堂々と面接に臨んでくださいね。