普段私たちが目にする3DCGを利用したゲームやアニメーションの中で、視覚に訴えかけるデザインを担当するのが「3DCGデザイナー」の仕事。3D作品は、「1.モデリング」→「2.テクスチャー」→「3.リギング」→「4.モーション」→「5.レンダリング」というプロセスを踏んで完成に至りますが、3DCG製作ソフトを使用することによって作り上げていくのが3DCGデザイナーの役割となっています。
ここからはそれぞれの工程を詳しく説明していきましょう。
近年、スマートフォンや家庭用のゲームは3DCGで制作されることが増えてきました。しかし2DCGの仕事がなくなったわけではなく、現在でも2Dの技術が必要とされる場面は数多くあります。
そんな3DCGデザイナーと2DCGデザイナーの最も大きな違いは「扱うソフト」にあります。
3DCGを制作するには「Maya」・「3ds MAX」といったソフトを使用し、立体的なグラフィックを作り上げていくことになりますが、2DCGの場合は「Photoshop」・「illustrator」といったAdobe系のソフトを使用し、ポスターやロゴ、キャラクターなどの制作を担います。
また、グラフィックデザイナーは2DCGデザイナーと「2Dのデザインをする点」は共通していますが、主に雑誌広告や商品パッケージ、カタログといった紙媒体での印刷物デザインを手がけるのが特徴。時には大きな看板広告を手がける場合もあり、より多くの人に自分のデザインを見てもらえるチャンスがある点は最大の魅力といえるでしょう。
最近では2DCGと3DCGの技術を両方持つデザイナーも少しずつ増え始めており、2D・3Dのどちらの領域も担当できるハイスキルな人材は、ゲーム会社や広告会社、デザイン会社、メーカー、映画会社など様々な分野で活躍できる可能性を秘めています。
新卒で3DCGデザイナーとして就職するためには、専門学校や大学で3Dのスキルを身に着けるのが確実です。
特に「3DCGデザイナーとして即戦力になりたい」、「絶対に3DCGデザイナーになってみせる」という強い意思のある人なら、3DCGを使ったゲーム制作やグラフィックの技術を基礎から習得できる専門学校がおススメ。実際に現役で3DCGデザイナーとして働いている講師や業界をよく知るスタッフも多く、仕事の実情を聞いたりリアルな職業体験などを経験したりできることから、就職を見据える上でもメリットが大きいといえます。
一方大学では、美術や芸術系の学部や3D技術を専門に扱う学部を選ぶのが3DCGデザイナーへの近道。3DCGデザイナーには高いデッサン力や芸術的思考なども求められるため、専門的な美術のスキルや知識を身に付けられる美大や芸大を選択すれば、就職した後も大学時代に培った力を十分に発揮できるはずです。
また大学では、学科科目に加え学部共通科目であるマーケティングや心理学、経済学、政治学なども併せて勉強でき、教養を広げることも可能。さらにサークル活動や部活動なども充実しているため、キャンパスライフをエンジョイできるのも魅力の1つです。
そのほかには、独学で3DCGを勉強する、3DCGを扱う会社にアルバイトとして採用してもらい職務経験を積む、といった方法もあります。しかし独学の場合には、就職にあたってスキルが証明できる資格や制作物を提出する必要があるため、かなりハードルは高めです。またアルバイトの場合には、なかなか求人が出ない、仮に入社できても雑用や事務といった別の仕事を任される可能性がある(自分のやりたい仕事を任せてもらえるとは限らない)といったデメリットがあるので注意しておきましょう。
3DCGデザイナーを目指す際、絶対に必要となる資格というものはありません。
ただし即戦力となって働くためには、「Maya」・「3ds MAX」ソフトといった3DCGの技術やデッサンなど基礎的な知識やスキルを学んでおく必要があります。また民間資格ではありますが、CG-ARTS協会の主催する「CGクリエイター検定」や色彩協会検定が主催する「色彩検定」などもスキルを証明するのに便利でしょう。加えて「Photoshop」や「illustrator」といった2DCGスキルがあると、就職活動において他の就活生との差別化を図ることもできます。
3DCGデザイナーの世界は完全なる実力主義。そのため日々アップデートしていくコンピューター技術の進化に追いつこうとする姿勢は欠かせません。常に最先端のスキルや知識を身に付けようとする向上心や意欲、根気も必要です。
3DCGデザイナーと一口で言っても、作業工程は細かい領域に分かれており、どの分野に特化するかによって適性は異なります。
たとえば、キャラクターの動きの仕組みを作るリギングの担当者であれば論理的な思考が求められますし、モデリングやアニメーターはクリエイティブな能力が必要とされるため、センスや発想力が要求されるでしょう。
またリアルな動きを再現するためには、普段から生き物の動きや色彩の微妙な違いなど、些細な気付きができる観察眼や、それをキャラクターや背景に反映するための表現力も必要です。
さらにすべての分野に共通するスキルとして、他のメンバーと円滑に仕事をするためのコミュニケーション能力や地道な作業が苦なくできる忍耐力などを備えておくと良いとされます。
とはいえすべてのスキルを学生のうちに完璧に身に付けておくのは至難の業。就職した後、実際の現場で経験を積みながら培われていくスキルも多いため、「適性がないから…」、「自分には不向きなのではないか」と過度に心配してしまい、3DCGデザイナーになる道を諦める必要は全くありません。
3DCGデザイナーとして就職を目指すのであれば、3DCGデザイナーとしてのスキルをアピールするための「ポートフォリオ」の制作は必須です。3DCGデザイナーの需要は高まっているものの、3DCGの技術を扱えるデザイナーはまだそれほど多くなく、高いスキルや実力をアピールすることができれば面接にも有利になるに違いありません。
また面接では学生時代に学んできたことに加えて、「なぜ3DCGデザイナーを志すのか?」、「なぜこの会社でなければならないのか?」といった点を詳しく聞かれるケースも多いです。そんな時には、自らのエピソードを添えるとともに、具体的かつ熱意のあるメッセージを面接官に伝えるようにしましょう。
最近は、コロナ禍ということもありオンライン上での面接も増えてきました。とはいえ、面接の基本的な部分はリアル面接と何ら変わりありません。「デザイナーだから少しくらい自由にしてもOK」、「画面越しだから、面接官も細かい部分までは見ていないだろう」と安易に考えることなく、身だしなみや立ち振る舞いにも気を配り、少しでも面接官に好印象を残すことが面接攻略のポイントです。
3DCGデザイナーの就職先には、
・ゲームメーカー
・アプリ制作会社
・映像制作会社
・アニメ制作会社
などが挙げられます。
求人数はエンタメ系の企業が多いものの、3D技術は多くの場で活用されているため、建築業界や広告業界、アパレルなどでも活躍することが可能です。複数の3Dソフトが扱える、また2Dの技術も持ち合わせている、といった高度なスキルがあれば、求人の選択肢が増えたりスカウトが来たりとより良い条件で入社できる場合もあります。
3DCGデザイナーは、ゲーム会社やスマホアプリ制作会社、映像会社などで正社員または契約社員といった形で働くのが一般的です。最近では3DCGデザイナーを好待遇で迎え入れる企業も増えており、これから需要はますます高まるものと見られます。
とはいえ3DCGデザイナーは、スキルや実力が重視される職種のため、「学歴が高い」「資格をたくさん持っている」というだけでは務まりません。
その反面、実力や実績さえあれば企業から引っ張りだこの人気デザイナーになれる可能性もあります。将来的には起業したりフリーランスとして活動したりするという選択肢も視野に入れ、仕事に精を出すのも良いでしょう。
今回の記事では、3DCGデザイナーの仕事内容や必要となるスキル、適性、就活の攻略法などについて詳しく紹介してきました。
3D技術はまだまだ扱える人材が少なく、専門性を高めたスペシャリストになれば好条件での就職も可能です。
そうなるためにも、学生時代から地道にコツコツと腕を磨いておくことが、引く手あまたの3DCGデザイナーになる近道であることは間違いありません!