就職活動の初期段階で必ず行う「自己分析」。自己分析の効率的なやり方と、実際にやる上で注意したいポイントをご紹介します。
自己分析の具体的なやり方を解説する前にまずは目的をしっかりと理解しておきましょう。
目的が曖昧では、ただ漠然と自己分析をすることになりかねないからです。
就職活動(新卒採用)における自己分析とは、あなた自身のバックグラウンド(過去の出来事・経験)を具体的に振り返って分析をすることです。また振り返るだけではなく「あなた自身の特徴・強み」を具体的に導き出します。そしてこれから「就活をする上での基準」=「就活の軸」を見つけましょう。
これらを見つけるまでの一連の流れで行うことを自己分析といいます。
自己分析をすることで、あなた自身の特徴が見えてきます。特徴が見えてくることで、どのような業界があなたに向いているか、志望したいかという「就活の軸」を具体的に考えられます。
また特徴だけでなく、特徴から「強み」を導き出せます。強みを具体的にすることで、エントリーシートや面接で、効果的にアピールする材料を得られます。
就活で企業が一番知りたいのは、あなたの「強み」です。就活担当者は、あなたがどんな長所を持っていて、その特徴を「どのような強み」として、会社で生かせるのかを見ています。
あなたがあなた自身の特徴を、正しく認識していなければ、就活担当者に有効なアピールをすることはできません。
つまり自己分析を怠ってしまうと、就活の軸(どのような業界をめざすのか)が見えないだけでなく、内定をもらうための一番重要な「強み」を得られないということになります。自己分析は、それくらい就活初期段階の重要なのです。
自己分析は、決まった方法があるわけではありません。しかし急に「あなたの特徴をつかもう」といわれても、戸惑う人も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、自己分析の具体的なやり方を以下の3つのステップでご紹介します!
ステップ1【発見】まずはあなたの自身の情報をとにかく書きだす
ステップ2【具体】1の情報を元に、「なぜ?」と問いかけて深掘っていく
ステップ3【整理】特徴を整理して記述しよう
上記の「発見・具体・整理」の3ステップのやり方を元に、実際に行ってみましょう。
まずは、自分の情報を整理しやすいように目に見える状態にしましょう。これには様々な手段があります。
■自分史を書く
今までの自分を時系列に沿って書いていく方法です。部活動に打ち込んだ時期・印象的な行事など、思い当たることは全て書いていきましょう。量が多い場合は、中学・高校・大学と分けて書くと見やすくなります。
■モチベーショングラフを作る
モチベーショングラフとは、横軸を時間、縦軸をモチベーションとしたグラフのことです。
モチベーションの上下は自分の主観で構いません。また、モチベーションの上下の原因をコメントで書き込んでみましょう。
ステップ1で出した情報を元に、あなた自身に「なぜ?」と問いかけて、具体的に深掘っていきましょう。
ここでは、中学3年間バスケットボールに打ち込んだ就活生のエピソードを元に具体的に深掘っていく思考方法の手順例をご紹介します。
■中学1~3年のバスケ部のエピソード
バスケットボール部に所属しバスケットボールにのめり込んだ
↓
「なぜ」のめり込んだのか?
↓
バスケットボールが楽しかったから。
↓
「なぜ」楽しかったのか?
↓
★チームメイトと仲が良かったから。
↓
「なぜ」仲が良いと楽しいのか?
↓
仲が良いと、みんなで練習に楽しく取り組めるから
↓
「なぜ」楽しく練習に取り組めると嬉しいのか?
↓
楽しんで練習に打ち込めると、練習の成果が試合で出せるから
↓
「なぜ」練習の成果が出ると嬉しいのか?
↓
★自分の努力の結果が目に見えると、充実感を得るから。
なぜ?と具体的に深掘っていった結果、あなた自身についての特徴が見えてきました。
ここで見えて特徴を書き出してみましょう。
・複数人でコミュニケーションを取りながら一つのことに取り組むことが好き
・自分の努力が目に見える結果で返ってくることで達成感を感じる
このような特徴は、強みとして発展させることもできます。モチベーショングラフを書いた場合は、「なぜこの出来事でモチベーションが上がったのか?」という質問からはじめていくと、同じように結果が得られます。
■得られた特徴は必ずメモする
このような思考方法を、何度も繰り返します。作業をする際は、メモ程度でいいので書き出します。思考中は、過去や現在の出来事を思い出しているため、考えが散漫になってしまって、導き出した結果を忘れてしまうからです。
そのため結果は必ず、メモをします。また結果のメモはステップ3の『【整理】特徴を整理して記述しよう』で使用します。
■マイナス面も深掘っていく
今回は何かを続けた例を挙げましたが、自分が続けられなかったことや、選択してこなかったこともあえて、「なぜ?」と深掘ってみましょう。マイナスな面からも、プラスになる特徴が見えてきます。
2のステップでメモに書き記したあなたの特徴を、過去と現在に当てはめてみましょう。
【過去】昔のあなた
【現在】今のあなた
複数当てはまる場合は、重複しても構いません。分けられたら、新たに『【未来】この先なりたいあなた自身』の項目を加えてみましょう。
その後、昔から今まで変わらない特徴や、昔と今で変化があった特徴を整理します。今の自分となりたい自分の違いを比べて見ましょう。
【過去・現在】の特徴から、自分にどんな仕事や企業が合っているのかが見えてきます。【未来】のなりたいあなたからは、どんな仕事がやりたいのかが見えてきます。これは、自分という人間の考え方を理解することであり、就活の自己PRの一貫性につながります。加えて、マッチングミスを防ぐためには必ず把握したいことですよね。
自己分析で気を付けたい注意点は以下の2つです。
1. 短所もマイナスに捉えない
2. 凡庸ワードは掘り下げて言い換える
ご紹介した自己分析の3つのステップを実行する上で、この2つの注意点を抑えておくと、エントリーシートを書いたり、面接を受けたりする際に役立ちます。
自己分析で判明した短所は、捉え方を変えればプラスに捉えられることがあります。自分がなぜそのことが苦手で、好きではないのかを考えてみましょう。
(例)飽きっぽい → 変化の多い職場に適応
一つでも多くの可能性を発見できることは、就活の幅を広げることになります。あまりに就活の幅を狭めてしまうと、エントリーする企業が少なくなり、挫折するリスクが高まってしまいます。できるだけ自分の可能性は多く発見しておきましょう。
自己分析で発見した特徴を表現する際に、凡庸な表現ばかり使用するのは避けるのが無難です。就活では、ライバルたちも同じように、自分の特徴を探し強みとしてアピールしてきます。当然、同じ特徴を強みとする人も出てくるでしょう。
(例)責任感がある → 一度引き受けた仕事は最後までやり遂げる
ありきたりな表現を企業は聞き慣れていますから、できるだけ自分の言葉で言い換えてみましょう。企業がそれを聞いた時に、あなたのことが印象に残りやすくもなります。
自己分析を正しく行うことで就活を成功に導く2つのポイントが得られます。
1. マッチングミスを防ぐ
2. 自分の意見に一貫性が持てる
それぞれについて詳しくご紹介します。
自己分析をすると、以下の3点に関する問いへの答えが見つかりやすくなります。
・自分はどのように働きたいか
・自分の興味のあること,好きなことができる仕事はあるか
・自分はどんな企業で活きるだろうか
就活において、自分に合った業界や職種を見つけることは最重要次項ともいえます。
「マッチングミス」とは、求人をする側と求職をする側のニーズの違いのことです。求職する側が内定をもらってから、あるいは働き始めてから、マッチングミスが生まれてしまっては、もったいないですよね。企業側としても、マッチングミスは痛手となります。
そこで、あなたの自己分析の綿密さを知るために、自己PRやエントリーシートなどで、あなた自身の人物像をチェックしているのです。
企業に自己PRをする際に、自分の意見に一貫性を持つことはとても重要なことです。
なぜなら、意見の一貫性はあなたという人間の信ぴょう性に関わるからです。履歴書、エントリーシート、面接時で、あなたの意見がバラバラでは、企業から信用を得るのは難しいですよね。そこで企業は意見の一貫性を重要視します。
自己分析をしっかりと行っておけば、面接で急に質問を投げかけられても、一貫性が失われることはありません。
就活の初期段階で自分の「強み」を把握できることは、大きなメリットです。さらに、目的を意識した自己分析は、採用にぐっと近づくことといえます。エントリーシートや面接で、あなたの強みをどんどんアピールしていきましょう!